今回は遺族年金の失権事由について妻と子にスポットを当ててご紹介します。
遺族年金は家族構成が変わることで失権することがあります。特に若いときに配偶者が亡くなられた場合、再婚などで家族構成が変化することもあると思います。そういった場合に自分の遺族年金も失権するかどうか、チェックする必要があります。
そこで、以下の通り遺族年金の失権事由を書きました。その下の方に簡単な注意点が書いてありますので、分からないことがありましたらご質問ください。
遺族基礎年金の失権事由
遺族基礎年金の遺族の範囲は子のある配偶者(今回は妻で紹介します)と子です。
失権事由も妻は子どもがいることが条件なので、妻本人だけでなく、子供が失権すると妻も失権することになります。
遺族基礎年金についての詳細はこちら。
1.妻自身の失権事由
① 死亡したとき
② 婚姻したとき(事実婚も含む)
③ 直系血族または直系姻族以外の者の養子になったとき(事実上の養子縁組関係を含む)
2.妻のすべての子が以下のいずれかに該当すると妻も失権する事由(一人でも以下に該当しない子供がいれば失権しない)
① 死亡したとき
② 婚姻したとき(事実婚も含む)
③ 直系血族または直系姻族以外の者の養子になったとき(事実上の養子縁組関係を含む)
④ 妻と生計を同じくしなくなったとき
⑤ 妻以外の者の養子になった時(事実上の養子縁組関係を含む)
⑥ 離縁によって死亡した被保険者等の子でなくなったとき
⑦ 18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したとき(障害等級1級または2級の障害の状態にあるときを除く)
⑧ 障害等級1級または2級の障害の状態に該当しなくなったとき
(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるときを除く)
⑨ 20歳に達したとき
3.子のみの失権事由
① 死亡したとき
② 婚姻したとき
③ 直系血族または直系姻族以外の者の養子になった時
④ 離縁によって死亡した被保険者等の子でなくなったとき
⑤ 18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したとき(障害等級1級または2級の障害の状態にあるときを除く)
⑥ 障害等級1級または2級の障害の状態に該当しなくなったとき(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるときを除く)
⑦ 20歳に達したとき
遺族厚生年金の失権事由
遺族厚生年金の失権事由には、子がいることが必須条件ではないので少し異なる。
遺族厚生年金の詳細はこちら。
1.妻自身の失権事由
① 死亡したとき
② 婚姻したとき
③ 直系血族または直系姻族以外の者の養子になったとき(事実上の養子縁組関係を含む)
④ 離縁によって死亡した被保険者との親族関係が終了したとき
⑤ 30歳未満で遺族厚生年金のみ受給している妻(子がいない妻)が受給権発生から5年を経過したとき
⑥ 遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給している妻(子がいる妻)の場合、30歳に到達する日前に遺族基礎年金の受給権が消滅すると、その日から起算して5年を経過したときに失権します
※⑤と⑥は下図参照してください。
2.子自身の失権事由
① 死亡したとき
② 婚姻したとき
③ 直系血族または直系姻族以外の者の養子になった時(事実上の養子縁組関係を含む)
④ 離縁によって死亡した被保険者との親族関係が終了したとき
⑤ 18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したとき(障害等級1級または2級の障害の状態にあるときを除く)
⑥ 障害等級1級または2級の障害の状態に該当しなくなったとき(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるときを除く)
⑦ 20歳に達したとき
注意点
- 遺族基礎年金の場合、妻は子がいることが条件なので子が失権たり、子と生計を同じくしなくなったりすると、妻は失権します。
- 直系血族・直系姻族以外とはお父さん、お母さん、お子さん、おじいちゃん、おばあちゃん以外のこと
(細かく言えばまだいます。)
例)再婚などでお子様が新しいお父さんと養子縁組を組まれても、お子様の遺族年金は失権されません。
(新しいお父さんと子の関係は直系姻族になる)
お母さんは失権します。 - 遺族基礎年金の失権事由「2.③が妻以外の養子になったとき」は直系血族、姻族も含まれます。
- 離縁とは法律上、養子縁組を解消することで、姻族関係の終了は含まれません。
- 里親の場合は、その事実だけをもって養子とはしません。事実上、養子の状況にあるかどうか、まず判断します。
- 30歳未満で子供のいない妻であっても、夫が亡くなった当時、胎児がいた場合、出生してから遺族基礎年金が加算されます。(遡及はしません)そのため、遺族厚生年金「1.④」の5年間の有期受給には該当しません。