仕事の過重な負荷か原因で心筋梗塞や脳梗塞などを発症した場合、労災として認定される場合があります。
万一、労災認定がされなくても、ご病状が一定以上の場合、日本年金機構からの障害年金が支給される場合もあります。労災保険と障害年金は併給できますので、合わせて考えてみることをお勧めします。
1.脳・心臓疾患の対象疾病
以下に掲げられている疾病が労災補償の対象として認められています。
【脳血管疾患】
- 脳内出血(脳出血)
- くも膜下出血
- 脳梗塞
- 高血圧性脳症
【虚血性心疾患等】
- 心筋梗塞
- 狭心症
- 心停止(心臓性突然死を含む)
- 解離性大動脈りゅう
2.脳・心臓疾患の労災認定要件
▪業務による明らかな過重負荷を受けたことにより発症したものは業務上の疾病として取り扱われます。具体的には以下が労災認定の要件であり、いずれかに該当した場合、業務上の疾病として取り扱われます。
認定要件1
発症直前から前日までの間において、発症状態を時間的及び場所的に明確にし得る「異常な出来事」に遭遇したこと
認定要件2
発症に近接した時期において、特に過重な業務に就労したこと(短期間の過重業務)
認定要件3
発症前の長期間にわたって、著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したこと
3.具体例
1.「認定要件1」の異常な出来事に遭遇とは?
-
業務に関連した重大な人身事故や重大事故に直接関与したこと
- 事故の発生に伴って救助活動や事故処理に携わった
- 急激で著しい作業環境の変化など
2.特に過重な業務に就労したかどうかの判断とは?
①期間
認定要件2の場合は概ね1週間。認定要件3の場合は6か月間くらいの期間
②過重な業務に就労していたかどうか?
業務量、業務内容、作業環境等具体的な負荷が同僚労働者や同種労働者にとっても特に身体的、精神的負荷が認められるかどうかで客観的かつ総合的に判断します。
③具体的に業務自体が過重なものであったか?
労働時間、不規則な勤務、拘束時間が長い勤務、出張が多い勤務、交代制勤務、深夜勤務、作業環境、精神的其緊張を伴う業務などの状況をみて判断することになります。
以上3つを見て総合的に判断することになります。
5.相談する際には?
労災に認定してもらうためには、まず、証拠となるものの情報集めをして下さい。労災かどうか判断が微妙なものについては、労基署と面談をしたり、調査が入ったりします。その時に分かりやすいように、発病までの勤務の状況をまとめておくのも良いと思います。給与明細などの時間外労働の時間が分かるものもとっておきましょう。経過については大まかなもので良いのでメモなどをとっておくと面談の際、話がスムーズにいきます。