業務災害による休職中の労働者が解雇された事例
平成27年6月8日労働基準法第19条第1項但し書きの適用にかかる解釈について最高裁判所での判決が出ましたのでその解釈についてお伝えします。
1.労働基準法第19条第1項但し書きとは?
(解雇制限)
第十九条 使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業する期間及びその後三十日間は、解雇してはならない。
ただし、使用者が、第八十一条の規定によつて打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない
2.裁判の概要
業務上の災害として労災保険の両々補償給付と休業補償給付を支給されていた労働者が、会社(この裁判では、学校法人)が打ち切り補償の平均賃金1200日分相当を支払って解雇した。それに対し労働者側が解雇の無効を主張して起こした裁判。
3.今回の判決での労働基準法第19条第1項の解釈
今回の判決で、 労災保険給付と労働基準法第19条第1項の適用にかかる解釈運用については、以下の通りになりました。
厚生労働省通達 基発0609 第4号より
療養補償給付を受ける労働者が療養開始後3年経過しても疾病にが治らない場合には労働基準法第75条による療養補償を受ける労働者と同様に使用者は当該労働者につき、打ち切り補償を支払うことにより、解雇制限の除外事由を定める労働基準法第19条第1項の適用を受けることができると解するのが相当である。
まとめ
つまり、労働者は解雇されても、療養補償給付を受けられるのは変わらなく、労働者の利益保護に反しないため、会社側は打ち切り補償(1200日分)を払うことで、解雇することも問題はない。と最高裁は判断したということになります。
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